ラブピース ドイツ語を原文で読む

ラブ&ピース ドイツ語を原文で読む

著・文・その他:杵渕博樹

内容紹介

ドイツ語の名文をオリジナルで読むための、硬派な参考書です。初級文法の知識があれば読み進めることができます。

本書は15章構成で、各章の冒頭には、作者や作品の紹介、文学的・社会的・歴史的背景を解説。読解のポイントをつかんでから原文に挑めます。左ページにドイツ語の原文、右ページに文法解説や語句の意味、直訳に近い日本語訳を収録し、読者が自分に合った方法で読み進められる設計です。

取り上げた作品は、ドイツ語圏の知的「ラブ&ピース」が根底に流れるものばかり。
「他者との出会いや関わりを恐れることなく、同胞たる人類に対する愛にあふれ、隣人や遠く離れた見知らぬ人々の苦しみや悲しみに想いをめぐらせ、さまざまな困難にもかかわず絶望せずに、生きることそのものの喜びとすばらしさを信じ、よりよい未来を希求する批判的精神」 を感じながら、奥深い世界を味わってみてください。

●抜粋して収録されている作品
ブレヒトの詩
ヴァルター・ベンヤミン『歴史の概念について(歴史哲学テーゼ)』
ナヴィド・ケルマニ「連邦議会ドイツ基本法65周年記念講演」
レッシング『賢人ナータン』
カント『啓蒙とは何か』
マルクス/エンゲルス『共産党宣言』
マルクス/エンゲルス『フォイエルバッハについてのテーゼ』『ドイツ・イデオロギー』
レマルク『西部戦線異常なし』
フロイト『戦争と死についての時評』
ギュンター・グラス『玉ねぎの皮をむきながら』
ギュンター・グラス『負担の清算』(ドイツ社会民主党1989年12月18日ベルリン党大会講演)
A&M・ミッチャーリヒ『喪われた悲哀』
ニコラス・ボルン『機械の世界』
ハーバーマス『〈イデオロギー〉としての科学と技術』
「ドイツのエネルギー転換――未来のための共同作業」安全なエネルギー供給のための倫理委員会報告

目次

はじめに
読解のための文法

Kapitel 1
»Und als ich aufsah, schwand sie schon im Wind«
見上げたときには、もう風に消えていた
Gedichte von Bertolt Brecht
ブレヒトの詩

Kapitel 2
»Das, was wir den Fortschritt nennen, ist dieser Sturm.«
われわれが進歩と呼んでいるもの、それがこの暴風だ
Aus: Über den Begriff der Geschichte (1940)
von Walter Benjamin
ヴァルター・ベンヤミン『歴史の概念について(歴史哲学テーゼ)』

Kapitel 3
»... hat das Grundgesetz Wirklichkeit geschaffen durch die Kraft des Wortes«
「基本法は言葉の力で現実を創り出したのです」
Aus: Rede zur Feierstunde „65 Jahre Grundgesetz“ im Deutschen Bundestag (2014)
von Navid Kermani
ナヴィド・ケルマニ「連邦議会ドイツ基本法65周年記念講演」

Kapitel 4
»Der rechte Ring war nicht erweislich«
「どれが本物の指輪かは証明できませんでした」
Aus: Nathan der Weise (1779)
von Gotthold Ephraim Lessing
レッシング『賢人ナータン』

Kapitel 5
»Habe Mut, dich deines eigenen Verstandes zu bedienen!«
「自らの悟性を使う勇気を持て!」
Aus: Beantwortung der Fragen: Was ist Aufklärung? (1784)
von Immanuel Kant
カント『啓蒙とは何か』

Kapitel 6
»Die Geschichte aller bisherigen Gesellschaft ist die Geschichte von Klassenkämpfen.«
これまでのすべての社会の歴史は階級闘争の歴史だ
Aus: Manifest der Kommunistischen Partei (1948)
von Karl Marx und Friedrich Engels
マルクス/エンゲルス『共産党宣言』

Kapitel 7
»… es kommt aber darauf an, sie zu verändern.«
それを変えることこそが肝心だ
Aus: Thesen über Feuerbach und Die deutsche Ideologie
von Karl Marx und Friedrich Engels
マルクス/エンゲルス
『フォイエルバッハについてのテーゼ』『ドイツ・イデオロギー』

Kapitel 8
»Einer von uns allerdings zögerte«
ただ、ぼくらのうちで一人だけ、ためらうやつがいた
Aus: Im Westen nichts Neues (1929)
von Erich Maria Remarque
レマルク『西部戦線異常なし』

Kapitel 9
Aber etwas mehr Wahrhaftigkeit und Aufrichtigkeit …
しかしもう少しの誠実さと率直さがあれば…
Aus: Zeitgemäßes über Krieg und Tod (1915)
von Sigmund Freud
フロイト『戦争と死についての時評』

Kapitel 10
»Wir tun sowas nicht.«
「私たちはそういうことはしません」
Aus: Beim Häuten der Zwiebel (2006)
von Günter Grass
ギュンター・グラス『玉ねぎの皮をむきながら』

Kapitel 11
»Also sind wir ihnen ziemlich viel schuldig.«
だからわれわれは彼らに対し相当に多額の借りがあるのです
Aus: Lastenausgleich
von Günter Grass
(Rede auf dem Parteitag der SPD in Berlin, 18.12.1989)
ギュンター・グラス『負担の清算』(ドイツ社会民主党1989年12月18日ベルリン党大会講演)

Kapitel 12
»Noch eine Möglichkeit für Trauer?«
「まだ哀悼の可能性はあるか」
Aus: Die Unfähigkeit zu trauern (1967)
von Alexander und Margarete Mitscherlich
A&M・ミッチャーリヒ『喪われた悲哀』

Kapitel 13
»... dann ist Widerstand ebenso sehr von unserer Natur«
ならば反抗することだって同じくらいにわれわれの性質だ
Aus: Die Welt der Maschine (1977)
von Nicolas Born
ニコラス・ボルン『機械の世界』

Kapitel 14
»Das technokratische Bewußtsein«
テクノクラシー的意識
Aus: Technik und Wissenschaft als ›Ideologie‹ (1968)
von Jürgen Habermas
ハーバーマス『〈イデオロギー〉としての科学と技術』

Kapitel 15
»Deutschlands Energiewende«
ドイツのエネルギー転換
Aus: Deutschlands Energiewende – Ein Gemeinschaftswerk für die Zukunft
von Ethikkommission für eine sichere Energieversorgung (2011)
「ドイツのエネルギー転換――未来のための共同作業」安全なエネルギー供給のための倫理委員会報告

著者略歴

著・文・その他:杵渕博樹

杵渕博樹(きねふち ひろき)
1966年、東京生まれ。東京学芸大学附属高校を経て、早稲田大学第一文学部独文専修卒業。同大学院文学研究科修了。博士(文学)。専攻はドイツ現代文学。著書に『人類は原子力で滅亡した――ギュンター・グラスと「女ねずみ」』(早稲田大学出版部)、『これがドイツ語だ!――会話で文法』(同学社)、訳書にクレメンス・マイヤー著『夜と灯りと』(新潮社)などがある。宮崎大学教育文化学部准教授を経て、現在、東京女子大学現代教養学部教授。
ISBNコード
9784384060416
JANコード
Cコード
1084
発行元出版社
三修社
扱い社
JP番号
国際分類コード
判型
A5
ページ数
196ページ
定価
2,600円(本体)
発売予定日
2025年06月01日
対象読者
成人指定
NDC分類

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